南米の暗く暑い夜。ところにより雨。

使用環境：kayfun mini v3

ハードルの高さを感じます。経験値が問われますね。煙草やお酒と同じで初めは、なんで大人はこんなものが美味しいんだろ、という疑問が浮かぶタイプの味の立ち方のように思えます。

味的には甘さや青さのなくなりかけた完熟を通り越したあたりの濃厚なバナナ。重くビターなカカオ。むせ返るような濃いラム酒。微かではあるもののもったりとした葉巻。爽やかさやライト感を期待してはいけません。

万人に美味しいとお勧め出来るものではないけど個人的にはすごく好きです。美味いかと聞かれれば静かながらにイエスと答えられるけど、こちらから勧め難い要素はすごくあります。そんなところも好きだけど。無難に勧めるならウーキーとかアルテミスあたりでしょう。生理的に駄目な人も確実にいるはず…。それくらい複雑で癖があります。複雑なのに多少分離気味に個々の味の主張があり良くも悪くもより難易度を上げています。また味が温度によってかなり変わるけれどそこは楽しさの一つ。おそらく製作側は不特定多数の美味しいという評価を積極的に求めてはいないでしょう。
嗜好品、という位置付けが一番しっくりします。
味の容量が100のところ150くらい詰め込んでしまったようなバランスの危うさもあります。

大人というには大人過ぎる深く重い複雑な味わい。

狭いニーズに特化した取替の効かない独特の雰囲気。

この子を吸いこなしたいという謎の欲求。

バナナ味と思って吸うとギャフンとなります。

革命前夜の中南米。気怠く湿った夜に疲れた男達がささやかな平穏を夢見て煙を燻らせている光景が浮かびます。遠く雨雲を引き連れながら。